屋根につもった雪がポタポタと音を立てながら溶け落ち、話す会話にも真っ白な息が絶えない2月。凍える寒さの中に立つ住まいの中に、静かに暖かく揺らめき立つ薪ストーブの炎。リビングを暖め彩るだけでなく、家族の団らんや生活を形作り見守るかのような薪ストーブの存在。
住まいを新築される方やリフォームを検討される方が「いつか暖炉や薪ストーブのあるリビングでゆっくりと生活を送りたい」と憧れを抱かれることも多いようです。
今回は当社のガスをご利用いただいているお客さまのお住まいにおじゃまして、現在使われている薪ストーブのお話をうかがいました。
薪ストーブのある暮らしはゆったり過ごす憧れのイメージが強いのですが、やはりそういうものなのでしょうか?
薪ストーブはエアコンやヒーターなどの直接温風が吹付けるものと違い、じわっと暖かくなる輻射熱ですから、心地よくしっかりと部屋全体が温まる。そして静かにゆらゆらと燃える炎をみていると何となく心が落ち着いてきて、ついゆったりと時間を過ごしたくなります。しかし薪ストーブには薪ストーブ独特の使い方や作業が必要となってきますので、野放し手放しというわけにはいかないそうです。
薪ストーブで大変な点は?
まず実際の使用時に注意する点は薪の燃やし方です。薪を燃やすとはいってもただメラメラと燃やすだけではありません。薪が目に見えて燃えているのは「一次燃焼」といわれるものです。薪ストーブは、薪が燃えて出た煙を再度燃やすことで有効に暖房熱を得ることができ、これを「二次燃焼」といいます。上手に二次燃焼させるためには空気量の調節が大切です。ストーブの温度計を見ながら室温や使用時間を考えて、あと何時間くらいでどれくらいの薪を使うのかなども考えて燃焼状態を調節します。大変ですがこれも楽しみのひとつです。上手に二次燃焼させると薪の有効利用ができますので、薪の消費量も抑えることができ、意外に大事なことです。
次に、意外と大変なのは先ほどお話しした、燃料となる薪の確保です。自然に存在する木を燃料とするので、薪ストーブは「燃料代がかからない」というイメージです。
また、敷地や近隣に山があり、木がたくさんあったとしても、切ってすぐ燃料となるわけではありません。切ったばかりの木には水分が多く含まれているため、しっかりと燃やせる薪にするためには一年間くらい乾燥させないといけません。そうなると切った木を乾燥させるための薪の保管スペースも必要となりますので、お金はかからなくても保管場所や切り出し・薪割りなどの労力も必要となります。しかしそれも体を健康に維持する為にもなりますし、薪割りも楽しい作業です。
薪ストーブは「高い」というイメージがありますが?
確かに安くはありませんね。最近は色々なお値段の商品が出ており、安ければ5万円~100万円以上するものまでさまざまです。あまり安いと二次燃焼方式になっておらず、どんどん薪を消費してしまう、などのこともあります。使われる頻度や部屋の広さなどをしっかりと事前に検討されることをおすすめします。
またストーブ本体以上に大事といっても過言ではないのがストーブを安全に使うための設置工事です。
・ストーブ自体の重量が100~200㎏くらいあるので床は大丈夫か?
・一度置いたら簡単には動かせないのでストーブの位置はここでいいのか?
・ストーブは200~300℃くらいで燃焼させるので、壁や周りは燃えたり焦げたりしない構造なのか?
・煙突で排気をするけど煙突は安全に設置されているか・お手入れもしやすいのか?などなど、色々な部分を検討しないといけませんし、安価にはいきません。しかし、一度設置すれば一生ものですので、メインの暖房として使いますし長い目で見たら高いとは限りません。
いかがでしたか?憧れといわれることの多い薪ストーブ。ボタン一つでさっと動く便利な暖房器具とはやはり違い、それなりの手間ひまはかかります。燃料代はかからなくても、自然と向き合いながら生活に生かしていく工夫も必要です。
これらのことを楽しみながら、じっくり向き合うことができればとても快適なもののようです。
やはり薪ストーブは、自然との調和をとりながらじっくりと暮らしていくという「暮らしの象徴」としてもとらえられ、多くの人の憧れとなっているのかもしれませんね。