今年の4月、熊本県で震度7を観測する大きな地震が発生しました。各地で家屋の損壊や被害が相次ぎ、尊い命も失われてしまいました。
生活の場所を失い避難所生活。この時には多くの支援が自衛隊や各ボランティア団体により行われました。
現在でも様々な支援活動が継続して行われておりますが、今回は被災した子どもたちにスポットを当てて少し変わった形での被災者支援が行われることを知りました。
―「飾り巻き寿司」―
日本の伝統文化である寿司、中でも日本各地の家庭において年中行事や祭事などでも親しみのあるのが巻き寿司。かつては地域や家庭独自の模様を巻き寿司にあしらった飾り巻き寿司が受け継がれてきましたが、最近では一層の華やかさを持った飾り巻き寿司や、日本の文化をより身近に感じてもらうため、外国の方に向けたものや子どもに喜ばれるキャラクターものなどとっても多彩です。この文化を伝えていくために、飾り巻き寿司に関する協会もあるようです。
今回は飾り巻き寿司のマスターインストラクターであられる佐藤美幸(さとうみゆき)先生と、飾り巻き寿司を通じて熊本の子どもたちの被災支援を行う「笑顔まんまるプロジェクト」事務局の合田優子(ごうだゆうこ)さんにお話をうかがいました。
お二人はご自身の生活の中で、自他を問わず〝子供たちが幸せに過ごしていくために自分たちに何ができるのか“ということを考え、実践されています。
この度の熊本の地震により心に大きな傷と恐怖をもった多くの子どもたち。その子どもたちの傷を癒し、少しでも多くの笑顔を取り戻すために熊本の幼稚園に行き、園児の目の前で飾り巻き寿司を巻いて食べさせることで被災者支援を行われています。
今回の飾り巻き寿司のテーマはご存じの方も多い「くまモン」。熊本出身で全国でも圧倒的な人気を誇り、子どもたちが喜ぶこと間違いなし。しかしそんな期待の陰には大変な苦労が・・・。お聞かせいただきました。
Q:今回の支援活動を行うにあたり、大変な点はどのような点ですか?
A:活動を行うための費用などももちろんですが、特に大変だった点は3つあります。
Q:よかったらお聞かせください
A:まずはとても大切な部分ですが、飾り巻き寿司を通じての支援活動がなかなか受け入れられなかったことです。当初熊本県に話を持ちかけたときには〝熊本は予想以上の被害を受けている。子どもたちも深い恐怖や震災ストレスを持っていて受け入れる余裕がない。“といった意見があり、話が前に進みませんでした。それでも諦めず、事務局や多くの方々のご協力のおかげで、現在ではたくさんの幼稚園から申込みをいただきました。
A:次に今回のテーマ「くまモン」の使用認可をもらうことでした。ご存じのとおりくまモンは大変人気があり、正式に登録されたキャラクターです。ですから正式な使用認可をもらわないと飾り巻き寿司には使用できませんし、表現するにも耳の形や位置、目の形が違ったらダメだという規制が強くかかります。使用認可をもらうのに色々な所で膨大な手続きと打合せが必要でした。
A:3つめはやはり人手が足りないことです。飾り巻き寿司は最初に細かい部分を作り、組み合わせながら巻いていきます。巻くときはあまりピンときませんが、切って断面を見たらびっくりするくらいよくできていて、感動します。ですから必ず現地での作業になりますが、当初私たちが予想していたよりもはるかに多くの園児たちが待っていてくれているので、相当な量をまかなければなりません。手仕事につき、人手が欲しくて今でもボランティア参加していただける方を募集しています。この記事を読まれてお手伝いいただける方はぜひお願いします!(笑)
Q:皆さまに伝えたいことはありますか?
A:今回の支援に限らず、多くの方に飾り巻き寿司に親しんでいただきたく巻き寿司教室を行っておりますので、ぜひ参加してみてください!(笑)
いかがでしたか?同じ災害支援という言葉でも、支援スタイルや対象となる被災者
は様々です。大切なのは被災者を思う気持ちと〝私にとって・私なら“という視点
なのだと強く感じました。